2014年2月5日水曜日

[846.1] Bruno Munari - Cappuccetto Bianco

Anche a guardare bene tutta questa neve, non si riesce piu' a vedere, a distinguere la cuccia del cane, 
i cespugli di bosso, la panchina di pietra, il contorno delle aiuole, il sentiero che conduce verso il bosco. 
Anche aprendo bene gli occhi non si riesce a vedere niente.

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どんなに目をこらしても、
犬小屋も、草むらも、花壇も、森へ続く小道も、
雪の中にのみこまれて何も見えない。
(ブルーノ・ムナーリけんきゅうかい 訳 より)


さまざまな素材が使われた知育のための12冊の本「I Prelibri(本に出会う前の本)」、トレーシングペーパーやパラフィン等の質感やレイヤーを効果的に用いた「Nella nebbia di Milano(霧のなかのサーカス)」「Nella notte buia(闇の夜に)」など傑作絵本をはじめ、インダストリアル・デザイン、映像、詩、独創的なデザイン論まで、さまざまな分野に大きな功績を残した、ミラノ出身の芸術家Bruno Munari(ブルーノ・ムナーリ)。「ずきんちゃん」シリーズのひとつ、1981年出版の「Cappuccetto Bianco(白ずきんちゃん)」は、絵本作家Remy Charlip(レミー・シャーリップ)と、音楽家/思想家John Cage(ジョン・ケージ)に捧げられた真っ白な本。ほとんど文字のみが印刷された本ですが、詩集ではなく絵本で、紙の白は雪の色、雪の風景がこの物語の舞台。

John Cageが「4分33秒」公演で、会場内の沈黙、ざわざわとした雑音を「演奏」として図地反転させて観客を驚かせたように、この白い絵本もまた、無地の紙を「白ゆえに見えないもの」として静やかにシーンや登場人物を喚起させ、紙自体のかすかな素材感や、「絵本とは」という疑問にまで読み手の関心を導く、さりげない仕掛けに満ちています。
この「白ずきんちゃん」創作のきっかけになったRemy Charlipの「It Looks Like Snow(雪がふっている)」は1957年に出版で、同じく真っ白な絵本。昨年、タムラ堂より初の日本語訳本が出版されています。
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Bruno Munari - Cappuccetto Bianco
publisher: Corraini  

レミー・シャーリップ - 雪がふっている
出版社: タムラ堂