2017年2月11日土曜日

[111] va Silence: A Quiet Manifestation Of The Future


Label: Wacoal Art Center

Catalog#: 36CD-N020
Format: CD, Compilation, Album
Country: Japan
Released: 1993
DISCOGS

1 Ryoji Ikeda - Preamble 6:09

2 Holger Czukay - Earth 4:10
3 Simon Fisher Turner & Derek Jarman - Golden 6:04
4 David Cunningham - The Listening Room 5:42
5 Polkahappiness - Scarabeé 5:52
6 John C.Lilly, M.D. - Cyclone Meditation 4:41
7 Tamami Tono - Möbius Link 1.1 7:09
8 Paul Bley - Fauves 6:19
9 Jan Steele - Temporary Farewell 7:23
10 John Cage By Masumi Nagasawa - In A Landscape 8:19
11 Satsuki Shibano - Empreinte 4:48
12 Yoshio Ojima - Postscript 5:31

ワコールアートセンターが運営する南青山の複合文化施設スパイラルで、1993年9月から94年3月まで7ヶ月に渡って開催された「ART LIFE 21 - 人間になろう」。民族対立・環境問題・エイズなどの時事的問題を取り上げたこの展覧会への参加企画として、尾島由郎と池田亮司によるプロデュースで製作されたCDブック「サイレンス: 未来への静かなる提言」。池田氏がアメリカの脳科学者ジョン・C・リリーの著作の一節に共感したことに端を発し、「氾濫する情報を捨て去り、自身と向き合う静謐な意識から生まれた音」というテーマに賛同した12組のサウンド・アーティストが参加。CD収録曲はすべてこの企画のために新たに録音され、各曲のセルフノートとモノクロームの写真で構成された美しいブックレットとともに箱形パッケージに収められています。前半は電子音楽やエレクトロアコースティックが中心。後半は笙やピアノの独奏、室内楽のアンサンブルへ。各々で尺度や視点が異なる12通りのサイレンス。90年代にクラブ・カルチャーの中で興隆したアンビエント/チルアウトが、楽園的快楽や壮大な宇宙空間、深い内面世界、またはハイテクな近未来といったイメージを肥大させる一方で、その伏流となっていたポスト・インダストリアル/ノイズやミニマリズムから浮上した新しい音響主義が、過剰な付加イメージを排して「静寂・雑音」の原点へ戻そうという批判的姿勢をとっていたと考えるなら、本作や「Statics」はその象徴的な作品に感じられます。「サイレンス」とは単なる無音の状態ではなく、だれかの息づかいや遠くの足音を感じ取るための空白であり、コミュニケーションへの糸口と捉えるべき言葉なのかもしれません。


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va Statics (CCI Recordings, 1995)

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