2017年3月14日火曜日

[116] 37°C - Sidarta


Label: Discom

Catalog#: DCM-004
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Germany
Released: 2017
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A1 Sidarta 18:00

B1 Trag 4:22
B2 Pescani Sat 8:17
B3 Izmoreni Putnik 8:12
B4 Vrteska 5:16

東欧セルビアの首都ベオグラードのパーティDisco Not Discoのクルーによって立ち上げられ、旧ユーゴスラビア圏の埋もれた音楽のリサーチ・発掘の拠点となっているレーベルDiscom。電子音楽に焦点をあてた「Yugoslavian Space Program」に続く第4弾タイトルは、ベオグラードで70年代末から短期間活動した、キーボード奏者Zdenko Radeta(ズデンコ・ラデタ)率いるフュージョン/プログレッシヴロック・グループ 37°Cが、1979年にロンドンのスタジオで録音した未発表アルバムを初音盤化。カバーの写真は、クロアチアの著名な彫刻家Dušan Džamonja(ドゥシャン・ジャモニャ)による1973年制作の巨石モニュメント。


1979年、Gary Numan(ゲイリー・ニューマン)がロンドンのグースベリー・スタジオで "Friends' Electric?" を録音していた時、Boban Petrović(ボバン・ペトロヴィッチ)のバックバンドとしても知られる腕利きのミュージシャン達はアルバムを録音するために同じスタジオを予約した。これがKim BandのメンバーBebi Dol(ベビ・ドル)とSilva Delovska(シルヴァ・デロヴスカ)の初めての録音だった。アルバムはヘルマン・ヘッセの小説「シッダールタ」にインスパイアされた曲で幕を開ける。アンビエントでサイケデリックで実験的なこの18分の壮大な曲は、多少なりとも70年代に電子音楽を見据えていたクラウトロックやプログレッシヴロック・バンドのスタイルに符号するが、しかし曲のアレンジは例外で、眠りに誘うようなチェレスタ、表現力に富んだギター、旋律の美しいベース、魅惑的なキーボード、崇高なヴォーカル、慈悲深いサックスとフルート、様々なサウンドやテクスチャーから成り立っている。アレンジのグラデーション、特にそれら楽器の現れ方が非常にエキサイティングである。例えばドラムは、ボーカル、フルート、サックスの後に曲の結尾に現れ、特定のイメージを呼び起こす役割を担っている。非常に珍しいが、しかし歌詞が一切含まれていないことを考えると、その意味は一段とミステリアスである。実際に、曲の構造は小説のシーンに基づいている。主人公シッダールタは、自身の道を見つけて自己を発見するために逆方向に歩みを進めた後に、最高原理=ブラフマンを体験した。曲の中で、バンドメンバーは演奏の極致に達する瞬間まで、最高の知識とスキルをもってムードを高めてゆく。小説と同様に、極致に至った後のパートは、音数の多いその前のパートよりも重要であり、演奏ははるかに複雑になっている。そこに自己を見つけられるかもしれない。B面の4曲は、A面とは構造も雰囲気も異なっている。最初のトラック "Trag (Trace)" は、ベビ・ドルの独特な歌声、2つのキーボードとギターソロが見事な70年代のグルーヴを生み出している。次のインスト曲 "Pescani Sat (Sand Watch)" は、オープンフォームでさらにプログレッシヴな雰囲気。そして、全員の演奏のスキルがフルに発揮された "Izmoreni Putnik (Weary Traveler)" へ続く。
アルバムの最後の曲 "Vrteska (Merry-go-round)" は、11/8拍子のリズムで、奇妙な「ストリートオルガン」のメロディでエンディングを迎える。


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