2017年8月20日日曜日

[144.1] fleaongak

2008年から新潟市でゆっくり続けているfleaongakというライブシリーズとして、この8月と9月に2つの演奏会を企画いたしました。ひとつは東京のアート・フェスティバル「INFRA 2017」(8/19-26)のためにフランスから来日されるTomoko Sauvage(トモコ・ソヴァージュ)さんのソロ公演。もうひとつは、打楽器奏者・松本一哉さんの新作リリースツアーの一環として、同じ打楽器奏者の齊藤功さんを共演に迎えたソロ・デュオ公演。どちらも市役所近くの医学町ビルにて開催します。

Tomoko Sauvageさんは、水や氷といった自然の素材を用いた録音作品やインスタレーション作品を発表しているパリ在住の音楽家。ライブ・パフォーマンスでは南インドの伝統楽器・ジャラタランガムからヒントを得た「Waterbowls」という独自の楽器を演奏されます。ジャラタランガム(水の波)は水を入れた大小のお椀を竹の棒で叩くという珍しい楽器なのですが、水が主に音程を調節する役割であるのに対して、トモコさんの「Waterbowls」ではハイロドフォンとエレクトロニクスを使い、水そのものの多様な音色や繊細な質感を抽き出して、それを音楽として奏でます。

松本一哉さんは、波紋音・音のかけら・陶琴壺・三昧琴といった音具や自然物を操る打楽器奏者。彫刻家や鍛冶師によって造られたそれらの音具は、音もさることながら、造形として美しいです。ミニマル・ミュージックの名門Spekkよりリリースされた新作「落ちる散る満ちる」は、鍾乳洞の天井から無数に落ちる滴の下に、鉄琴の音板を一枚一枚配置し、滴のリズムとともにその場の空気を採録した作品。キンキンという金属音が1つ2つ・・と増え、次第に洞窟内のひたひたという気配の中に音楽の原初ともいえるような響きを満たしていきます。haruka nakamura Piano Ensembleのドラマーとして長年活動してきた齊藤功さんを迎えた今回の新潟公演では、その新作にあわせたライブセットになります。

思いがけず「水」という共通点をもつ2つの演奏会が続きます。演奏者の動作や楽器から音をみることは楽しく、たとえ音が複雑であったとしてもその楽しみ方はとてもシンプルだと思います。お時間がありましたら、ぜひ聴きにいらしてください。ただいまご予約を受付しています。

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Tomoko Sauvage
「水と磁器の演奏会」
2017年8月25日(金) 午後6時30分より

松本一哉+齊藤功
「ふたりの打楽器奏者による演奏会」
2017年9月2日(土) 午後6時00分より

会場:医学町ビル 201号室(新潟市中央区医学町通1番町41)
※学生は入場無料です。