2017年10月6日金曜日

[153] Tangatamanu

イタリア・ミラノの作曲家/サウンドデザイナーAlberto Morelli(アルベルト・モレリ)とStefano Scarani(ステファノ・スカラーニ)によるプロジェクト「Tangatamanu」(タンガタマヌ)。この名前は、ラパ・ヌイ=イースター島の神話に登場する、鳥とヒトの属性を併せ持つ創造神=鳥人に由来しているそうです。2人は1993年からコンビで活動をはじめ、同地の現代作家グループStudio Azzurro(スタジオ・アッズーロ)やイギリスの映画監督Peter Greenaway(ピーター・グリーナウェイ)など、とりわけインスタレーションやインタラクティヴ・システムのためのサウンドデザインを多く手掛けています。以下の3つのトラックは、いずれもスタジオ・アッズーロとのコラボレーションにおいて作曲されたもの。

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フェニキア人やローマ人などの集落遺跡群が残るサルデーニャ島サンタディ・パーニロリーガで行われた、考古学プロジェクト「Sito archeologico di Pani Loriga」のためのサウンドトラックからの抜粋。古代フェニキア(地中海東岸に位置した地名:現在のシリア)の音楽をモチーフにしたと見られ、アウロス(古代ギリシアの木管楽器)、アドゥンゴ(アフリカの10弦ハープ)、シプシ(トルコの木管楽器)、ベンディール(モロッコの打楽器)、ガラガラなど民族楽器が使われています。タイトルは「音の細道」の意。

 
1997年にマドリッドのパラシオ・デ・ラ・モネダ博物館で公開されたインスタレーション「La Stanza Astrale」(アストラルルーム)のためのサウンドトラックからの抜粋。サブタイトルは「musica per il grande viaggio - 素晴らしい旅のための音楽」。タンガタマヌとスタジオ・アッズーロの共同プロデュースによるCD「Un Passo Di Cristallo」には14分のバージョンを収録。


2000年にハノーヴァー万国博覧会で公開された、芝生の床に5つの人工木を配置したインスタレーション「Il Bosco」(森)のために書かれたエレクトロアコースティック。2人の操作するハーモニウム、エレクトロニクスに加えて、民族学音声資料から引用された老人と子ども達の声が使われています。タイトルは「豚が痩せた時」の意。


Alberto Morelli & Stefano Scarani ‎- Un Passo Di Cristallo
(Studio Azzurro / Tangatamanu, 1999)

Tangatamanu - Landing Talk / Le Zattere dei Sentimenti
Music for two installations of Studio Azzurro
(Wallace Records Mail Series, 2005)