2017年10月11日水曜日

[154] Daisyworld: Omni Sight Seeing






様々なタイプの音楽家が同時発生的にクワイエット・サウンドへと接近していた80年代末〜90年代初頭の混沌と、消費社会への対抗意識が結びついたムードに共感していた細野晴臣氏は、その気分をしばしば「Quiet Hip - クワイエット・ヒップ」という言葉で表していました。それは、精神的には静かな海の深くにあり、音楽的にはさらに先(未来・過去・自身のルーツ)へと前進しようとする、アンビエント以上のニュアンスをもつ提言であったように思います。「Omni Sight Seeing」は、細野氏が縁や好奇心に導かれるがまま、江差~アンデス〜アラブ~ヨーロッパや遠い異星を放浪するワールドミュージック的な眼差しと独自のユーモアセンスをもって作り上げた、クワイエット・ヒップ早暁の傑作アルバム。ライやアシッド・ハウス、ライヒ的ミニマリズムなどの要素がポップスとして昇華されていることはもとより、自分にとっては、当時のカルチャーとしてのアンビエントをめぐる同時代性がドキュメントされている点においてとても重要な作品に感じられます。上の4つのリンクは、細野氏が1998~2001年までJ-WAVEでホストを務めていた番組「Daisyworld」(2002年よりInterFMに移り「Daisy Holiday」として継続中)のコーナー「サウンド・クロニクル」で「Omni Sight Seeing」を取り上げた回。第1回はキャラバン特集。第2回はアラブ音楽特集。第3回はDJ KOGA=古賀明暢氏をゲストに迎えたアシッド・ジャズ〜アシッド・ハウス特集。第4回は90年代全般と、アルバムに影響を与えた音楽の話。楽曲制作の背景にあるアイデアや当時の社会的動向についての話題を交えながら、4夜に渡って本作に至る軌跡を振り返っています。アップローダーはFront Line 1981さん。


tracklist: excerpt only feature segments on "Omni Sight Seeing"

part 1: 2001.01.21
CARAVAN (DUKE ELLINGTON) ~ CARAVAN (BILLY ECKSINE) ~ CARAVAN (LES PAUL) ~ CARAVAN (HARUOMI HOSONO) ~ CARAVAN (THREE SUNS) ~ CARAVAN (NAT KING COLE) ~ CARAVAN (JIMMY SMITH) ~ CARAVAN (BUNNY BERIGAN AND HIS ORCHESTRA) ~ CARAVAN (SWING SLOW)

part 2: 2001.01.28

ESASHI (HARUOMI HOSONO) ~ ANTOURA (FAIROUZ) ~ TACCHIKI FELGHIR (HOUARI BENCHENET) ~ MILOUDA (BELLMOU AND GANA EL MAGHNAOUI) ~ LA CAMEL CHEB KHALED) ~ LE CERCLE ROUAGE (AMINA) ~ ANDADURA (HARUOMI HOSONO) ~ INTRO / LEBEDIK UN FREILACH (THREE MUSTAHAS THREE) ~ CHENAR LE BLUES (LES ABRAINS) ~ LI BEIRUT (EAIROUZ)

part 3: 2001.02.04

CAN'T STOP: ACID RAIN FOREST MIX (PLEZ) ~ ACID TRACKS (PHUTURE) ~ LET YOURSELF: 303MIX (808 STATE) ~ NUDE PHOTO (RHYTHIM IS RHYTHIM) ~ CAN U FEEL IT (MR.FINGERS) ~ MY MEDUSA (K ALEXI SHELBY) ~ LAUGH GAS (HARUOMI HOSONO)

part 4: 2001.02.11

PLEOCENE (HARUOMI HOSONO) ~ ORGONE BOX (HARUOMI HOSONO)